先月、石川県の七尾市の安泉寺に行ってきました。
私はNPO木の建築フォラムという組織の中の能登半島地震支援ワーキンググループのメンバーなのですが、そのご縁での話です。
2024年1月1日の能登半島地震において被災された建物ですが、解体するのか、修繕して再利用するのか、それとも建て直すのか、その判断材料としてまずは調査をして図面を起し、そのうえで費用を算出。その現地の採寸調査の一員として出向いたのです。
採寸というのは図面が残されていない建物がどう作られているか、細かい部分にまで寸法をとることが欠かせないからです。現場は広いので何人も手分けをして行います。間取りを起したら柱の寸法、開口高さや床や柱の傾き等記録していきます。
この建物はすべて石場建てのようでした。石場建てというのは古民家や神社仏閣などに多く見られるのですが、石(礎石)の上に柱が乗っかっているだけの構造で、石(礎石)と柱は全く固定されていないのです。きわめてシンプルな免震構造なのですが、今回の地震では揺れが大きく、礎石から外れてしまう箇所も随所に見られました。柱が礎石から外れて地面に着地してしまうと当然礎石に乗っている部分との段差が生じますから様々な接合の部分で抜け落ち等があって床が傾いたり小屋組がずれて雨漏りが生じたりしています。

山門の柱も礎石から外れています。木材を横から差し入れて応急処置をしているようです。


鐘楼も見事に4本の柱が礎石からずれて逆に無事?でした。

柱の傾きが極端に違うのは上部であれ、下部であれ接合がずれたものと思われます。

竹小舞土壁に塗られた漆喰の剥落

本堂の様子
落下した木の彫刻の部分がまとめて置かれていました。最近耳にしたニュースでは残念ながら本堂は解体して、庫裡(住職や住職の家族の方々の居住のスペース)に本堂の機能を持たせるように修繕するとのことでした。
蓮の花に想うこと

安泉寺を離れる最後の日、山門近くで咲く蓮の花を見つけました。
泥中の蓮華・・・泥に象徴される煩悩溢れる俗世に生まれついても蓮華(悟り)を咲かせる・・・この度の震災で苦しまれたすべての方々から苦しみが1 日でも早く解放されますように。