もしこの樹に精霊が宿るとすれば、その精霊の霊力の逞しく生きている間に殺さなければ、その霊力をその子孫に伝えることはできない。・・・・ことに大木に宿る精霊は、精霊のなかでの首長である。それゆえに大木は、むしろ生きている間に喜んで殺される義務がある。あの大木が斧で伐採され、悲鳴をあげて倒れていくとき、あの悲鳴はむしろ歓喜の最後の叫びなのである。
これは源平の争乱で焼失した東大寺の復興を果たした僧の生涯を描いた伊藤ていじ氏の「重源」の一節です。


そしてこれらの写真は先日、日本住宅・木材技術センターにおいて開かれた勉強会で参加した際に訪れた銘木館(株式会社長谷川萬治商店で知られる長谷川萬治氏のご子息より銘木を寄贈)で撮影したものです。丁度『重源』の大木の伐採にかかるところを読んでいるタイミングだったのでひどく心に刺さりました。


この空間は単に大きな材木を保管してある場ではなく、なにか博物館のような独特な空気感を醸し出していると感じたのは私だけではない筈です。
木に関わる仕事に携わるご縁を頂いたこと、感謝しております。
是非足を運んでみてください。(但し要予約)
セミナーの話はまた後日。
